世界の街角をてくてく歩くテレビ番組があって、大好物だ。
昨夜、たまたまリモコンを適当に押してたらハイビジョン放送で
やっていた。ベトナム・カントー(→クリック!)。
早速手元のiPadでグーグルアースを使い、地図で確認。
「米白く水澄むカントー、旅人去りがたし」
という言葉が昔からあるようで、たべものはおいしいし、自然も美しい。
そしてカントーに住む人はみんな、ふるさとカントーが大好き。
郷土愛は、いいものだね。
テントの下にずらりと机を並べた男たちがいて、何の仕事かと聞くと
代書屋だという。中に、ものすごく年代物のタイプライターを使っている
おじさんがいる。他はさすがにみんなパソコンなのに、おじさんだけ
タイプライター。聞けば、タイプライターを使うと代書の品質が良くなる
からこだわっているのではなく、単にパソコンを買うお金がないから
みたいなのである。
そもそも代書屋って、何をするんだろう。落語の演目にあったけど。
いまの日本にも存在する職種なんだろうか。わからない。
ともあれ、タイプライターおじさんが、毎日3時間かけて(この時間はうろ覚え)
車いすに乗ってここまで来る、という。
両足が動かないから。
どうしてですか、と尋ねたら、1968年のベトナム戦争でやられた、と。
その時のおじさん、ちょっと涙ぐんでいた。つらかったし、いまも消化できていない
気持ちがあるんだろう・・・。
「ま、そんなことはともかく、これ見てよ」
おじさんはデスクの上に大事そうに置いてあるパソコン・キィボードを
手元に引き寄せた。
「練習中なんだ。タイプライターとは少し文字列が違うから」
「(パソコン)を買った時のために、練習している」
「買うよ。ここで働いて、お金貯めて、いつかきっと買うんだ」
パソコンをお金貯めて買う、という目標がとても新鮮だった。
すっごく単純だけど、いまぼくが使っているパソコン、あれこれ不具合に
文句言わず、大切に使わなきゃ、と思った。
公園に行くと、海と隣接しているところが水びたしになっている。
中学生くらいの女の子二人が構わず、水遊びしている。
旅人(日本人)が、いかにも日本人的な発想をする。
「どうしてこんなに水びたしになっているんだろう?」
と、「水の理由」を考えるのだ。
遊んでいる女の子たちにも、聞く。
「どうして水びたしになっているの?」
「いつもここはこうなるの?」
女の子たち「さあ・・・。雨が多かったんじゃない?」
聞かれたから返事するが、実のところ、そんな理由なんか知ったこっちゃない、
という風情だ。ただ楽しいから、遊んでいる。
これがとてもいい。
ぼくの感想を述べた音声ファイルはこれkanto⇒クリック!