朝から、昨日Tower Recordで出会って一目惚れしたCD&DVDにハマっている。

Wynton Marsalis & Eric Clapton plays the blues

DVDに入っていたシート。最高だね!

DVDに入っていたシート。最高だね!

今日から仕事始めで、ニューヨークからは連載コラムの校正メールが飛んでくるし、

『Lighthouse』誌の締め切りでもある。

二台あるパソコンをフル稼働させて、仕事に励んでいるんだけど、MacBookProで

流している音が素晴らしくいいので、聞き惚れてしまうのだ。

一曲目が終わったあたりで、リハーサルの模様が挿入される。

そのナレーション(声はマルサリスだと思う)で何度も繰り返される言葉がimprovise。

Oxford英英辞典によると

create and perform(music,drana, or verse) spontaneously or without preparation

つまり、日本語でいうとアドリブだ。ぶっつけ本番ともいう。

(*そういえば談志家元の伝記タイトルは『人生、成り行き』だった。)

ぼくはこれに「人生」という単語も加えたい。

create and perform  one’s life spontaneously or without preparation

だからといって、日本のテレビバラエティでよくある「ただのぶっつけ本番」

ではない。あれはただ芸がないだけだ。

芸の裏付けがしっかりあって、その上で、improviseする。

Wynton Marsalisはこのライブが行われたリンカーンセンター、Jazz at Lincoln Centerの

芸術監督をつとめている。ジュリアード音楽院卒で、ジャズとジャズの歴史について深くて

広い知識を持っている。著作も何冊かある(ぼくが翻訳しようかと思っている)。

そしてクラプトン。彼の腕についてはいまさらだろう。

つまり、実直に努力を重ね、仕事に励み、しっかり生活していく中で、目の前に

立ち現れる数々の「音」へ真摯に向き合っていく。

これが、素敵な「人生のあり方」なんじゃないだろうか。

最高なライブ音を浴びながら、そう考えた。

最後に、マルサリス自身の筆になるライナーノーツのラストを翻訳して紹介します。

 

このライブはピュアな喜びでした。エリックは音楽そのものと言っていいからです。(中略)

(ジャズの本場で、うるさがたの多いオーディエンスの)ニューヨークに乗り込み、

たった3日で12曲の全く新しいアレンジを覚え、普段とは違うバンドのフロントマンとなって、

3日間慣れない曲を演奏し、ほぼ全曲を歌う。大変なことです。

エリックはこともなげに成し遂げました。

ライブがすべて終わったとき、彼は私にこう言いました。

「ソロをやるより、リズム隊にいたかった」

私が彼を愛してリスペクトするゆえんです。