今朝は寒いねー。
さて、ブランドはとんがらなくちゃ! と常々言っているし、ぼくのブランド論の
鍵となるんだけど、一方、とんがりがそのブランドの収益のボトルネックになる
こともある。でも、ボトルネックを改善すれば、それは利益の源になる。
とんがればとんがるほど、この危険は高まる。
この、「ブランドのとんがりのジレンマ」について。
たとえば、「豊富な品揃え」が、あるショップのブランドのとんがりだとする。
容易に予想されるように、「豊富な品揃え」のメダルの裏には、「豊富な在庫」
がついてまわる。表現の違いだけだけど、品揃え=在庫なんだ。
在庫はキャッシュが変身したもの。
キャッシュは何にでも変幻自在で、社員の給与にもなれば、家賃にも、お楽しみのCDにも、
週末ドライブのガソリン代にも、アンドロイド携帯の通信費にも化ける。
ところがいったん仕入れて商品という在庫になってしまえば、その商品、
たとえばぶらさがり健康器以外に変わりようがない。
ぶらさがり健康器を3,000円で仕入れ、5,000円で売ったら2,000円の儲けになる。
この場合限界利益は2,000円である。
仕入れ価格は変動費だから変動比率は60%。
倉庫家賃など固定費が1,000円とすると2,000円マイナス1,000円で1,000円が
営業利益。ぶらさがり健康器が1,000円に化けたわけだ。しかしこれは売れた場合。
あわてて売ろうとして値引きしようとしても、変動比率が60%だと、販売数量が
増えない限り(当たり前だが)営業利益は増えない。
2割引くと、値引き前の営業利益1,000円を稼ぐためには倍の数量を売ってトントン。
これは厳然とした論理上の事実である。2割値引いて、2倍以上の販売数量が見込めない
限り、やってもムダなのである。むしろ値引きに伴う事務処理などで現実の変動費率は高まる
ため、営業利益はやせるのが実際だ。
売れなければぶらさがり健康器はぶらさがり健康器のままで、さながら倉庫に引きこもったニート
である。棚卸しし、財務諸表を作成すると、これは「資産」となる。すると課税対象になる。
ひきこもりニートが倉庫家賃と税金を食うカネゴンに変身する。いずれにしても歓迎すべき
ことではない。
しかし、「豊富な品揃え」のメダルの背景には、こういうカネゴン予備軍も大量に仕入れてしまう
ことを考慮に入れなければならない。
つまり、ボトルネックとなる在庫の前後のプロセスにメスを入れる。
前後とは、仕入れ(前)と販売(後)。
このシュップのブランドがとんがるために必要なことは、とんがりのコンセプトを
創造するだけでは道半ばで、「日々のオペレーションにおける仕入れ&在庫&販売」の
全体最適化だとわかる。
これが収益力を高めるためのブランド経営です。