2001年3月15日出版。
原著は前年の同時期に翔泳社から渡されていた。
『ブランド・マインドセット』と同時に2冊、両方
翻訳してほしいということで、要するにパーミションが売れたから
翻訳家として売れっ子だったのである。ダイヤモンド社からも
翻訳依頼を受けていた(『インビジブル・マーケティング』)。
原著タイトルは
Outsmarting Goliath
How to achieve equal footing with companies that are bigger, richer,
older, and better known
ゴリアテ(巨人)を出し抜く
あなたの会社より大きく、お金持ちで、先輩で、有名な会社と
互角に戦う方法
時はインターネットが熱を上げ始めていた時代、とはいえ、著者は
「ネットが解決策」という安直な(当時そういう安っぽいネット依存の
本はくさるほど出ていたのだ)方法に頼らない。
女性ならではの着実かつ現実的な方法を一つ、また一つと解説していく。
まさにスモールビジネスのノウハウ本として当時は決定版だったと思う。
お気に入りのエピソードを(p.333-334)。
(ここから)
私が住んでいた街で花屋を営む、フラワーズ・バイ・ジムという
小さな店の事例。経営者は、1998年、全国紙の見出しを飾った。
彼は、地方紙に、こう宣言したのだった。
「バレンタイン・デーにはお休みする。なぜなら、その日は
花の仕入れ価格が馬鹿高くなってしまい、納得できないからだ」
彼によれば、同じブーケの花束に、バレンタインだからといって
倍の値づけをすることは好きじゃない。いくら一年のうちで
一番忙しい日だとしても、彼は顧客の犠牲の上に成り立っている、
他の業者がやっているのと同じゲームを、自分もすることをよし
としなかったのである。彼の普通ではない戦術は奏功した。
評判は上がり、街中で話題になった。
(ここまで)
ちょっと解説しておくと、アメリカは日本と違い、
バレンタインデーに男性がブーケを女性に贈る習わしだ。
だから2月14日には街中を花束抱えた男性がうろうろする。
そんな一番の書き入れ時に、店を休んでしまおうという勇気が
「とんがって」いたのだろうね。