若い2人は、厳しい現実と闘うために、契約結婚というフィクションで対抗しようとした。

リアルにはリアルを、とせず、リアルにフィクションで。

この自分たちの取った手段が

「逃げる」

ことと考えた。

逃げるは恥だが、でも、リアルに生き延びるためには役に立つと。

話は変わるが、男女間で、「生計が一」になった途端、お互い遠慮がなくなる。

言わなくていいことを言ったり、見ないで済むなら済ませたい面を見てしまう。

これを生計の法則という。

不倫がロマンあふれるのは、生計が一ではないからである。

結婚がリアルだと言うのは、生計が一だからである。

さて、若い2人はフィクションの中でも仕事や恋愛、家族関係で

一喜一憂するのだが、それは見方を変えるなら、壮大なバケーション(休暇)だ。

ドラマの中、疑似新婚旅行で伊豆の温泉に行くシーンがあるが、彼らの生活そのものが

バケーションなのである。

人生、バケーションを味わう時期があっていい。

視聴者が「胸キュン」したのは、自分たちがヘトヘトになっている厳しい現実

から遊離させてくれる彼らのバケーションを疑似体験させてもらったからだ。

舞台の横浜は、そういう意味で、24時間バケーションな顔をしているので、

最適のセッティングだった。

そして最終回、急転直下、バケーション・フィクションから現実に戻る。

一口に現実と言ってもぼくとほぼ同世代のゆりちゃんの描く現実と

若い2人の描くそれとは違う。

バブルも経験したゆりちゃんの現実は、ソフトランディングである。

曖昧さをうまく使う術を、大人は知っている。

その点、若い2人は曖昧さの使い方がまだよくわからない。

恐ろしいほどに現実密着である。

番組終了後からTwitterで「#逃げ恥」投稿を読むと

若い人たちがみんな共感している。

ここに、イマドキ若者の現実志向を強く感じ、昨夜は眠れなかった。

まじで、2時間ごとに目が覚めた。

そして。

ぼくがあのドラマを愛したのは、バケーションの部分なんだなあと知ったのである。

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