AIはぜったい間違わないし、ぼくたち人間より賢い

という前提で世の中動き始めていて、ホンマか?

5月の某日、一泊二日の予定で大阪市内のホテルに宿泊することにした。

このホテルは自宅から歩いていける距離なのだけど、息抜きのため、コロナ前はよく行ってた。プールもあるしね。

今月から巨大資本IHGの系列に入ったので、いろいろ変わったかもしれない。

5月◯日から一泊

・クラブフロア

・ツインベッド

・食事なし

条件で、ホテル公式サイト、巨大資本IHGサイト、そして一休サイト検索した。

結論として、IHGサイトで一番納得のいくプランを見つけることができた。

予約し、アプリでも「予約」確認ができたので、ひと安心。それにしても何ですかこの高価格。万博やインバウンドもあるんだろうが、この価格ほどの体験価値はないこと、常連だからよく知ってる。ま、いっか。

 

翌日、ふと思いついて、ChatGPT4oに上記条件で調べてもらうことにした。もちろんDeep Researchだ。一瞬ディープリサーチの無駄遣いかとも思ったが、ものは試し。

すると、以下の質問。

それから約10分、43件の情報源を探ってくれた。

 

面白いのは、ChatGPTくんがあれこれ試行錯誤しながら仕事している「アクティビティ」だ。画面右で動きがわかる。

興味ない人にとっては煩雑なので、ChatGPTくんの仕事フローについては割愛しますが、要は彼の仕事の焦点が、「ウェブサイトの解析」メインになっていることがわかった。

 

*もちろん、ChatGPT使いの達人に言わせれば「それは君のプロンプト(指示)が悪いんだよ」ということになるのだろうが。

 

今回のホテルステイの目的は「日常から離れて、ゆったりする」

 

そのために、ツインベッドにし、クラブフロアにし、プール利用可能なプランを選んだ。

「選ぶ」というのは言い換えれば「検索」であり、「検索の基準」は「これまでの◯◯ホテルステイの経験」だ。

ところが、ぼくに指示されたChatGPTくんはちょうどこの4月に入社した新卒くんと同じレベルであり、このホテルに泊まったこともなければ、クラブフロアで顔なじみのホテルスタッフと会話を交わしたこともない。プールのあと、付帯のお風呂に入って「ここにいる爺さんたち、ポッキーみたいやなあ」という感想を持ったこともない。

 

出てきた回答は、とんちんかんなものだった。

 

おそらくこれから社会・・・官僚制度、会社の組織システム、ショッピング、交通システム、各種免許、個人ID(パスポートやマイナポータル)、学校教育・・・は

AIはぜったい間違わないし、ぼくたち人間より賢い

を軸としてデザインされ、日々バージョンアップされていく。

この落とし穴についてユヴァル・ノア・ハラリは『Nexus』で描いていて、それがこの本のメインテーマだ。

 

ぼくは、では、これからどんな人間のスキルが必要になって、求められていくのか考えた。この、ホテル検索体験をヒントに。

おそらく、「目利きのセンス」だろう。

 

村上春樹さんの翻訳の新刊が出た。期待して、手に取る。

それは、村上春樹さんが英語というヨコの文字を日本語というタテの文字へと変換してくれたから読もう、というのが始めにくるわけじゃないよね?

数ある英文学の中から村上春樹さんの目利きで選びとった作品

これが一番大きいと思う。

先日、書店でティム・オブライエンの新作『虚言の国 アメリカ・ファンタスティカ』を見つけた。村上春樹さんの翻訳だ。テーマがまさにSNSのいま、的を射ている。そして、ティム・オブライエン×村上春樹さんは『ニュークリア・エイジ』以来、好きだ。

めちゃくちゃ読みたいんだけど、いまぼくは日に夜をついで『Nexus』を読み浸っている。新しい小説を読む時間を取れない。なのでしばらくお預け、としたのだけど、そこでも感じたのは

「ティム・オブライエン」だしそれを村上春樹さんが選び取ったのだからぼくの好みにピッタリ合うに違いない

という確信だ。

ちょうど、「京都に行くんだけど、おすすめの居酒屋、ありますか?」と京都に詳しい友人に尋ねるようなもので、そういうとき、人は検索しない。

AIが広がればひろがるほど、ますます、

人の見識・教養・体験・センス

がお金になる。

そう思います。