ライアンエアー(本社アイルランド →クリック!)のオリーリー社長が
「30ユーロの航空券を買った客に数千ユーロのホテル代を
弁償するなんてばかげている」
と発言し、世論の反発を買った(アイスランド火山噴火に伴う
空路混乱事件)。
道義的観点だけではなく、EUの消費者保護法にも
反するというのが批判の論拠だ。
結局、批判を受けて、弁償するようにしたようだが、失われたウッフィーは
戻らないだろう。
オリーリー社長の顧客像が明確になった。
つまり、「顧客はお金をもらう相手」としか定義していないのである。
「安いチケットを提供してやっている」と。
この姿勢がきわめて時代錯誤だという点が、世論の胸のざらつきを
生んだのだろう。
つまり、顧客に「空路の便利・快適・至便」を提供する
と定義しているなら、今回のように空港閉鎖という未曽有の体験を
して不安な思いをした顧客へのサポートは当然の義務になる。
しかも、一人の顧客の後ろには数百人、数千人の潜在顧客が
いる。ネットワークでつながっているリンクエコノミーだ。
これでライアンエアーはこれまで蓄積してきたウッフィーをどっさり
失ったことになる。航空券を買った顧客一人のウッフィーとは限らない。
彼または彼女とリンクしている幾何級数的人数の人々の幾何級数的
ウッフィーを失ったのだ。
社長の一言で、これまで積み上げて来たウッフィーが
一気に失われた。蓄積するのは時間がかかるが、失うのは秒速である。
ライアンエアーも明らかに天災の被害者なのだから、もっと
やりようがあったのにと思う。