2003年
宮島の牡蠣初体験。たまたま観光パンフに載っていた広告に惹かれて入った店
が絶品で、同行した仲間と共に感動。ともだちやメルマガやセミナーでその感動を
伝えまくった。焼いているおばさんが味のある人で、彼女の魅力が全開、味にも
出ていた。
その後、台風で宮島が被害を受けたときも心配になって電話で店とおばさんの安否を
確認するくらい思い入れた。
2009年
再訪問。前回と同じメンバーで。
店の空気がガラリと変わっていた。
・「(行列の)先頭の人はこのラインを超えないでください」と表示、超える
客には厳重注意。レジのテレビモニターが何台も並び、行列する客の動向を
店主のおやじが監視。
・「お一人様一品を注文してください」の貼り紙。
・グルメレポーターが来店したときのビデオを繰り返し店内の大型テレビで上映
・接客レベルから「人の温もり」が消え、客は自動コンベアに乗せられて食べたら、
帰る、といった空気
・「あの焼いていたおばさんは?」と聞くと「辞めました」との由。
・「二度と来るか!」と仲間同士言い合って、店を後にした。
2012年
宮島三回目の訪問。焼き牡蠣を食べる店第一候補は牡蠣屋(→クリック!)。
同行のJOYWOW「まる」こと石丸雄嗣がネットで調べた。
行くとやはりすごい行列。あきらめて、「やむなく」前回嫌な目にあって
二度と行くか!と言っていた店へ。ここも少しだけ並んだが、前回のような
「行列への店からの指導」は、なかった。ただ、店頭で焼いているのがどう
ひいき目に見てもアルバイトで、こんなやつらが焼いた牡蠣を食べるのか、
と思うとちょっと寂しくなった。
店内は2009年に流れていたグルメ番組が同じく流れている。
いざ席に着いて観察すると、店の中は閑散としている。客は一応入っている
のだが、みんな楽しくなさそうである。フロアにはアルバイトの接客スタッフ
がたくさんいるが、教育されていないから動線にムダが多く、視角も狭くて
ちっとも接客になっていない。生ビールの注ぎ方もなってない(ぼくは厳しいぞ!)。
味も、イマイチ。
要するに坂を転がり落ちているのである。
宮島にご縁の深い平家物語を持ち出すまでもなく、「驕れるものは久しからず」。
この店が落ちた原因はひたすら、オーナーの「あり方」、商売哲学にある。
そして歪んだ哲学によって歪んだ組織原理(プリンシプル)にある。
第一に、「観光客相手だから、こんなもんでしょ?」と、商売をナメている
第二に、自分にとって最も大切であるはずの「牡蠣料理」を愛していない
第三に、商売そのものを楽しんでいない
第四に、客を愛さず、お金を運んでくれるマシンとしか見ていない
第五に、牡蠣に失礼である
言い出せばきりがない。
どうにも未消化な気持ちだったので、宮島観光の帰りに通りがかったため、
牡蠣屋で「食べ直し」することにした。相変わらず並んでいたが、待った。
一歩店内に入ると、空気感のすばらしさに感動した。
客層も、普段ぼくたちが都内や大阪で一緒の人たち。同じ「思い」の人たち。
「お人様一皿注文」といったしょぼいルールもなく、一粒から注文オッケー。
うどんやそばなど、余計なメニューなし。牡蠣一本で勝負。中には特選カキフライ
3粒1,500円という、「どんなものか、一度食べてみたいものだ」と思わず前のめりに
なる品もある! 牡蠣屋のメニューはここをクリック(→!)
何もつけず、牡蠣本来の味だけで勝負の焼き牡蠣。もう、悶絶の味。
牡蠣のオイル漬けをお土産に買って、支払いを済ませて店を出る時、初めて気づいた。
そこに焼き職人の店主がいた。
写真を見て下さい。この「あり方」。ゆるんだスタンス。そりゃ、味に出るよ。
牡蠣屋は、牡蠣への思い、愛、JOY+WOW+LOVE そしてFUNを店で表現している。
店は牡蠣への店主の世界観をプレゼンテーションする空間なんだ。