『マリーゴールド・ホテルで会いましょう』で

主人公がネット接続についてカスタマーセンターに

問い合わせし、「設定の変更は管理者でなければできません」

と言われる。

「管理者はいないのよ」

「管理者でなければできません」

「管理者の主人は、心臓発作で亡くなったの」

「管理者でなければできません」

このあたりの「非人間的」な空気感は、いまだ、至るところにある。

うちの大阪オフィスには定期的に海外(ニューヨーク、LA)から大型郵便物が届く。

大型だから郵便ポストに入らないといって、ピンポンして配達員がエレベーターに

乗って届けてくれる。わざわざ21Fまで、ご苦労さまである。

しかし、たまたまいればそれで済むが、不在のときはそうはいかない。

不在票が入っていて、これが非人間的なのである。基本、再配達依頼を郵便か

ファクスかネットで指示しなければならない。電話は音声ガイダンスに従ってというやつ

だ。面倒くさい。

そして、不在の時のほうが多い。

そこで昨日、唯一記載されている電話番号に電話して相談したら、「指定場所配達に関する

依頼書」を記入し、届け出しなければならないという。

「指定場所」とは、同じ郵便ポストの横にある宅配ボックスである。

そう、「ほとんどいないから、不在時には宅配ボックスに入れておいて」

という指示が、口頭で伝言されないのである。

依頼書は、触るだけで哀しくなるコピーのコピーのコピーのコピーで、文字が

つぶれている。そこにつらつらと書かれている「ご留意事項」を一言で要約すれば

「わしには責任、ないけんね!」だ。

Hey, 楽しくないよ!

Hey, 楽しくないよ!

日付が「平成」になっていて、そもそも今年が平成何年か知らない。

こういう、非人間的なことって、ほかには銀行がやたらと「パスワードがしばらく

変更されていません。いますぐ変更しなさい」とATMやらネットやらで言ってくるの

と通じる。

いずれも、顧客のためを思ってのことではない。

責任を逃れるためである。

「感性の捉え方」について論文を書いているのだが、

組織が責任のがれの体質から脱皮すること、

というのも書き加えるべきだろうなあ。