田中靖浩さん(→)とのメールのやりとりの中に、以前ぼくが何かの

折に言った「大企業のしっぽ」という言葉が出てきた。

「大企業(会計士など含む)に勤めた人間には必ず『しっぽ』がついて

おり厄介なことにそのしっぽが自分では見えない。これが会社を

辞めてから仕事をやっていく上で大きな障害になる。

会社を辞める・変わるときには過去のしっぽに自ら気が付かないと、

新しい環境ではうまくいかない。」(田中さんのメールから勝手に引用)

ふと思い出し、書斎書庫から、昔、大企業サラリーマン時代に複業しながら

連載コラムを書いていた雑誌を引っ張り出してきた。

この雑誌(net PC)に連載開始するにあたり、上司に許可をもらおうとした。

上司は「部下が雑誌にコラム連載をもつ」などという事案への決済をしたことが

なく、かつ、ぼくとソリの合わない(実際、相当陰湿ないじめにあった)こともあり、

上司の上司へ投げた。上司の上司も判断つかず、結局最終的には東京の社長室長に

まで上がった。

社長室長は昔から知っている人なので、ぼくに直接電話してきた。

「阪本さぁ、こういうの、許可もらうなよ」

これでぼくは目が覚めた。

ぼくは当時「複業」と言って、「サラリーマン仕事も、

マーケティング・コンサルティングや執筆仕事も、両方本業!」と

イキッていたが、結局のところ、「だれかに許可をもらうことで責任転嫁」

していたのだと。この、「だれかに許可をもらう」メンタリティこそが、

サラリーマンそのものなんだと。

社長室長の意図は、「オレ(社長室長)に責任取らせるな」ということなのだ。

これで腹が据わった。

以降、『Permission Marketing』翻訳にしても、何するにしても、だれかに

許可をもらうことはしなかった。すべて自分の責任である。

「すべて自分の責任」としたとき、「大企業のしっぽ」のうちの、少なくとも一つは

取れた気がする(全部取れるのは独立してから数年かかった)。

面白いことに、たまたま手にしたコラム、「複業」がテーマの回だ

面白いことに、たまたま手にしたコラム、「複業」がテーマの回だ (1998/5月号)