大阪市北区を南北へ分断するかのよう、東西ほぼ直線に1号線が走っている。
梅新東交差点から西天満交差点までの1号線沿いに、この寒空のもと、
不動産会社営業マンが毎日、ほぼ3人から5人体制で立ち、道行く人や
信号待ちをしている人へ声をかけている。陸橋の上でも「待ち伏せ」している。
「この近くでマンションのモデルルームやってるんですけど、ご覧になりませんか?」
ぼくもこの1週間で8回、声をかけられた。8days a week!
この、非生産的な営業活動を横目で見るにつけ、
営業の成果は、「販売しなければならない時点までの時間の使い方」で決まる
と知った。
つまり、マンションが完成したら、1日、いや、1秒でも早く契約にこぎつけ、キャッシュを
もらって「投資の回収」を始めなければならない。これはマンション計画時からわかっていること、
決まっていることだ。
なのに、どうして「ギリギリまで」放っておくのか。
時間はこれまで山ほどあったはずだ。
次に、「コア・アイデアを投下する決定的な場所」の選択について。
そもそも、1号線沿いに歩いている人たちは、地元に住んでいる人たちであり、彼らに
マンションを勧めるということは「買い替え」か「賃貸から分譲へ」とスイッチ
してもらうことになる。いずれも購買スイッチとしては、かなり重い。
そんな重いスイッチを、通りすがりの営業マンの声がけて押せると設計するところに
この営業計画のどうしようもないまずさがある。
「大阪市北区で分譲マンションを買う理由」を存分に想像し、創造すること
から始めれば、「決定的な場所」は見つかったはず。
それはひょっとすると、現在大阪市北区に住んでいない人たちかもしれない。
遠方に暮らす人に対して、何らかの魅力をアピールすることかもしれない。
たとえば、堀川小学校や西天満小学校という、とても良い小学校の
学区内であるとかいうのは、「子どもの教育に熱心」というインタレストを
もった人たちには魅力になるだろう。そうすると、むしろ遠方に
ある熱心な学習塾が決定的な場所になり、そこでマンション説明会をしたほうが
効果的だ。
最小のエネルギーと資本で最大の成果を上げるマーケティングは、
このように、「時間の使い方」にも着目すると、さらに効果的なのである。