稲盛和夫さんが京セラ創業間もない頃、松下幸之助氏の
「ダム式経営」について講演を聴く機会があった。
質疑の時間に、聴衆の一人が、
「どうやったらそのような余裕のある経営ができるのでしょうか?」
と質問した。
いるいるいる。このように
「具体的なやり方」を聞きたがる人。
本にせよ、セミナーにせよ、彼ら「答を求める人たち」は、
「チラシは30センチ×50センチの大きさ、紙は**社から買うと
安くて、そして内容はたとえば、『何でもいいから声かけて〜』
とまず手書きし、電話番号を目立つように赤字で・・・」
という風に事細かく言われると納得し、そのまんま、実行する。
さすがにもういまはないだろうが、住宅リフォーム関係で、
社名以外すべて同じ文面という小冊子作戦が流行したことがある。
さて、松下幸之助さんはどう答えたか。
「思わな、あきまへんな」
聴衆の多くは笑った。中にはきっと嘲笑も混ざっていたに違いない。
稲盛さんはこの言葉に深く心を動かされたそうだ。
ここが並みの経営者(多くの聴衆)と稲盛さんの違いである。
矢沢のエーちゃんは「どうやったら成り上がれるでしょうか?」
なんて、質問する余裕もなにもなかった。
思ったんだ。
エーちゃんを構成する60兆個の細胞のすべてが、
「成り上がる! 金持ちになる! サクセスする!」
と。もう、どうしようもなく思ったんだ。
出来事はすべて思いのコピーで起こる。
思ったことがすべてコピーされて現実になる。
お客の前では愛想悪いくせに「具体的なやりかた」だけを真似て
サンキューレターをDMしたところで、だれのこころも動かせない。
具体的な方法なんて、求める必要はない。
思うことだ。