そのバーは、住宅街の中にある。

玄関は、普通の家だ。

いちげんさんお断り、禁煙、そして

1. お酒の飲める人
2. 飲み過ぎない人
3. バカ騒ぎしない人
4. お酒を楽しめる人
5. 何でも飲めりゃ良いでは無い人

などなど、入店するのに条件が厳しい。

さぞや面倒くさいオヤジがやっているんだろうと思っていたら、

予想は良い方向へ外れ、とてもフレンドリーで、「ウィスキー愛」

にあふれたマスターだった。

昨日ZONOと久しぶりに男同士めし食いながら話していて、

「検索の時代、**バカとか言われるくらい、自分の売っている商品への

愛のある人しか、商売繁盛無理だよね」

と意見が一致した。売ってる商品について語り始めたら周囲が「ひく」

くらいでなければ、ハンパなんだよ。

メニューは単行本くらいの厚みがあって、そこにぎっしりウィスキー

についての「語り」が書かれている。すべてマスターが自分で触って身につけた知識であり、

「検索」で得たものではない。

内装はNew York Brickといった感じ(→)で、ぼくにはとても懐かしい。

ナイスなのは、トイレ内装もbrickで統一されていることだ。

「トイレに入った途端、夢がさめた、という感じにはしたくなかったんです」(マスター)

わかる、うん、わかるよ! ここまで凝った店内なのにトイレに入った途端「ご宴会受付中!」とか

「にんげんだもの」とか「7カ国語を話そう!」とかあったらげんなりだもんなあ(ま、この

店に限ってそんなことあるわけないけど(笑))。

そして、何より驚くのが「店内写真撮影禁止」のルール。

理由は聞かなかったが、おそらく「この場を楽しむことに集中してほしい」

という思いからだろうね、と話し合った。

「いま・ここ」に生きていれば、「これ、Facebookにあげよう」とか、残そう、とか

の発想で写真撮ったりしないものね。子どもの運動会で、ビデオ必死に回すのが

「いま・ここ」に生きてないのと同じ。

ブログやFacebookに写真をあげてくれ、と「ソーシャルハラスメント」したりする

店主が出てきている昨今、この姿勢はとてもきりりとしていて、素敵だ。

そもそもこの店、ウェブサイトがない。

もつつもりもないはず。

検索しても出てこない。

世界観を理解していないどこかのバカが食べログにちょろっと書いているくらい

(それにしても、なぜあの店に行っておきながら食べログに書いたりするんだろう。

アタマ、悪いなあ)。

結論。

何度もいうけど、これからは検索しても出てこないサムシングが、お金を生む。

間違いないね。