2000年、ニューヨークの自宅で書いた初めての書き下ろし本。
パーミションが売れているからということで柳の下のどじょう、3匹目。
実はこのほか、いまはなくなってしまったけど中経出版からもオファを
もらっていて、さすがにもう読者は要らないでしょ、と懸命にお断り
したのだけど、結局書いてしまうことになる(2001年出版4匹目)。
ニューヨークで書いたということもあり、いま読むとマンハッタンのにおいが
濃厚だ。
シリコンアレーと呼ばれたSOHO地区の起業家たちを取材、
セス・ゴーディンとも対談している。
車やドライバー、通訳、コーディネーターなども用意して臨んだ。
このための予算も出版社(翔泳社)が組んでくれて、いい時代だった。
いまなら考えられないだろう。
前著『セミナー』に続いて主張しているのは、まったく新しい世界が
ビジネスに訪れていて、顧客との関係性を根本からひっくり返さなければ
ならない、という現在のぼくとまったく同じスタンスだ。
繰り返しいうが、実はパーミション・マーケティング自体、拡張性は
低いコンセプトである。
それより、顧客参加型市場という、企業と顧客がともに価値創造を
していくという未来の世界を描いたことが本書の功績だと思う。
そしてそれは現在のSNSがリアルに侵食した世界で確実に実現している。
本書の扉に、ぼくは次のように献辞の言葉を書いていて、これもまた
いまなら許されない遊びだろうね。
常識の破壊者、マルクス兄弟(グルーチョ、ハーポ、チコ)に捧げる。
グルーチョ、君のおかげでぼくは言葉を破壊する楽しみを知った
ハーポ、君は「何でもあり」を体当たりで教えてくれた
チコ、君は何も教えてくれなかったが、ついでなので、捧げてしまった