JR東日本はじめ、鉄道会社はいずれもいまや「輸送」ではなく、
「広告」「金融」機能が強いビジネスモデルになっている。
もともと輸送に加え、不動産ビジネスも強い。
阪急百貨店前のグランドビルなどはその前の通路含め、
エスカレーターもすべて阪急の所有物だ。
JR東日本でいうと、「輸送業」が67%、駅スペース活用事業
(エキナカ物販、レストランなど。品川駅エキュートを
イメージするとわかりやすい)が14%、
ショッピング・オフィス事業が9%、その他9%となっている。
これは会社四季報などに掲載されている情報だが、掲載され
にくい情報として、収益先がある。
「収益」とは会計用語、企業が価値を創出した金額のことで、
その意味で厳密にいうと、今日のこの議論の性格上、
「売上」とは分けて考えよう。
輸送業は乗客が乗ると収益になる。
旧来はきっぷの購入で成立していた。
しかし、この一年振り返って、ぼくはいくつかの例外を除いて
きっぷを買ったことがない。電車(新幹線含む)も飛行機も。
ネットで完結している。
Suicaのおサイフケータイであったり、航空会社アプリ
であったり。
Suicaは横須賀線だけではなく、
仙台空港から市内へ乗り入れる空港線でも、
札幌駅構内スターバックスでも、大阪の地下鉄御堂筋線でも
福岡の地下鉄空港線でも使える。
SuicaをはじめとするICきっぷの特徴は、
1. 現金先払い
2. 運賃<チャージ金額
だ。
常に「余裕」をもたせて金額をプールしている。
自動改札機で「ブー!!」と言われるのが
かっこ悪いし。
そうなのだ。鉄道会社は相互乗り入れしているから、
利用金額を「山分け」することがその期の収益をはじきだす
方法になる。
もともと電車というものは、乗客がゼロでも定員満員でも
定時に動かさなければならない。
つまり、乗客数で費用は変わらない固定費ビジネスなのだ。
きっぷを発行していたころは、実際に、きっぷという紙が必要で、
これは乗客数に比例してかかる変動費だ。
経営を安定させるコツは、あらゆる費用を固定費化してしまうことにある。
これ、レストラン経営でも、仕入れやアルバイト人件費など変動費
を予算化して固定費にしてしまうだけでも、利益向上する秘訣だ。
以上のことからわかるように、いまや鉄道会社の収益は「前払いのキャッシュプール」
にあり、金融業なのである。
しかも金融機関ではないし利息扱いではないから、
法定利息にしばられることもない。
次に、新型山手線の導入の意図は、「電車のスマホ化」にある。
デジタルサイネージによる広告を充実させている。
乗客がスマホばかり見て吊り広告を見ないのなら、
では、その手元にあるスマホでデジタルサイネージ広告から
買い物させちゃえばいいという発想である。
「8:15-45の限定特売! いま注文すればご自宅の宅配ボックスに
新鮮な朝採り野菜セットをお届けします。今朝のラインアップは・・・」
「午前8時の車内魚河岸! 三浦漁港から今朝仕入れたばかりの新鮮魚介セット!
今朝の魚は・・・」
などの「鮮度訴求」のほか、昼間はファッションアイテムも
塾予備校の広告も「あり」だ。
いまや電車は最大のデジタル広告看板になり得る。
LINE経由で店の担当者へ質問したりの双方向顧客対応も「あり」だろう。
2000年ごろ、ぼくは「あらゆるものがe(電子)化する」と予言したが、
「電車のスマホ化」も、その一つなんだろうね。
楽しいね!