昨日からだと思うんだけど、自宅ガレージにバッタが住みついた。
しかも、隅っこにひっそりしている。
今朝も昨日と全く同じ場所にいる。昨日、置きっぱなしにしている
ほうきに緑色が見えたので、葉っぱが風でとりついているのかと
払おうとしたら、何とバッタだった。ぼくはこのとき、なぜか「カマキリ」
と勘違いしていて、大量の卵を産みつけられたらガレージが
カマキリベビーで埋まるんじゃないか、と要らぬ心配していた。
カマキリ夫人というのも昔あったがあれは一体どういう意味だったんだろうとか。
で、今朝見るとまた同じ場所にカマキリがいる。良く見るとバッタである。
いや。カマキリとバッタを見間違えていたのではなく、ただ単に名前を
間違えていただけなのだが。
こんなところにいてもエサはないし、しゃあないやろ、外へ行きなさい、と
つつくが、動かない。脚をもっても、知らぬ顔だ。
これは、虫の息なんだ。
と思った。もしこのまま明日朝でも天に召されたバッタを発見したら、
黙って庭に埋めてやろう、そう決めて午後。
買い物に出かけるついでにガレージを見るとまだいる。
しゃあないなあ、ここで暮らすつもりなんやね。
買い物から戻る。
バッタは出かける時と同じ場所に同じスタイルで座っていた。
ぼくが帰ってきたのを認めると、途端、バーーーーーーーーー、と
見事に飛び立ち、道路を隔てた向かいの家の庭に消えた。
それはまるでぼくにおいとまの挨拶をするため、帰宅を待っていたかの
ようだった。
いまどきの連中は、メールで済ますものだが。
会って挨拶する。
やつのように義理がたい男は、好きである。