JOYWOWコンサルタントまること石丸に教えてもらった「面白い大学教授」

大沢文夫先生。ゾウリムシの研究をしているというだけでシビれる。

早速著書を検索したら、入手しやすいものとしては一冊しかなくて、

それがこの『飄々楽学 新しい学問はこうして生まれつづける』(白日社)。

ヌケたゆるみ脱力感がたまりません

ヌケたゆるみ脱力感がたまりません

届くや否や待ちきれなくて読み進めば、予想に反せずめっちゃくちゃ

面白い。

もちろん、ゾウリムシの行動の研究も面白いが、終戦直前の大学の

雰囲気も面白い。

大沢先生、大学を卒業して「正統派物理でない物理学をやりたい」という

願いのもと、就職が決まったのが名古屋大学。面倒を見てくれる

ことになった物理教室の宮部直巳先生。この宮部先生は、かの寺田寅彦

先生のお弟子さんで、いまなら信じられないことだが当時は「寺田物理学は

暇つぶし物理学」といわれていて、権威が全くなかったそうな。

宮部先生も「正統派物理」は嫌いで、大沢青年をあちこちに引きまわし、

人に会わせてくれた。

学内は、学部外の、たとえば、医学部の外科の先生から企業(日本軽金属)まで。

いまでいうところの「知のコラボレーション」のための場形成に役立った

わけである。

また、「昔は、机の引き出しの中にお金があるのがサイエンスだった」。

太平洋戦争のさなか、1944年12月に発生した東南海大地震の調査

の時、やおら机の中から札束を取り出して、

「大沢君、これで津波のあとの調査に行ってらっしゃい」。

いまならあり得ない。

当時の大学教授のパワーがうかがえる。