ぼくはシャープ創業者の早川徳次さんを尊敬している。

シャープペンシルを発明するなど、「ほかにないもの」「独創的なもの」

を創造しつづけた知的巨人だからだ。

長く愛読している著書『私の考え方』の中にある

「アイデアの奉仕」にあるように、いつも何かアイデアでひとさまの

お役に立とうという「あり方」が素敵だ。

さて、そのシャープがサムスンと資本提携する新聞報道があって、現社長が

「うちが発表したもんちゃうよ」と愛想もユーモアもない文書を出しているが(→)

実のところどうでもいい。

一連のシャープ関係の問題を見ていて、気づいたのは、

本当にアイデアの時代だなあ

という点。

シャープが台湾メーカーとどーのこーのやっていたときも含め、

今朝新聞でサムスンと資本提携する記事を読んだときも、ずっと

あたまの中をビートルズの『レディ・マドンナ』が流れていた(音注意→)。

その理由は、歌詞”make ends meet”だ。中学生のぼくはこの歌詞で

「家計をやりくりする」という意味の英語慣用句を覚えたのだが、

要するに、財務をナントカするための資本提携は生活者のワクワクを作らない

ということだ。

シャープが気にしているのは財布の中であって、創出するアイデアではない。

“make ends meet”に過ぎない。

ところが現代の環境では、アイデアがお金を引き寄せ、ビジネスを生み出す。

先にアイデアありき。

ぼくにとって一番身近でいい例が、佐々木芽生(めぐみ)監督の

『ハーブ&ドロシー ふたりからの贈りもの』クラウドファンディング(→)

モーションギャラリーで過去最高14,633,703円(コレクター915人)の資金を

集めた。これは、ハーブ&ドロシープロジェクトのアイデアを是非実現したい!

というみんなの思いが結晶したものだ。

キックスターターで1,000万ドル超えの資金を集めて伝説になったスマートウォッチ

Pebble(→)があれだけ支持を集めたのは、スマートフォンと同期する時計という

アイデアが面白かったし、動画に登場する「ドリームチーム」が

「ドリームというよりいかにもオタク!(笑)」という男たちに共感した

からだろう。

レディ・マドンナは家計のやりくりだけで毎日を送っている。

彼女の悲劇は、「価値の創造」をしようとしないところにある。

自戒を込めて。

レディ・マドンナな会社になっては、いけない。