「これからご出張ですか。大変ですね」

「はあ。まあ」

「ぼくら大晦日まで仕事ですわ」

「そうですか。でも、仕事のあることは

ありがたいことですよね」

「そうですね」

「大晦日って、何時までやるんですか」

「会社はできるだけ早く帰ってこい、言います。

会社のもんも、早く帰りたいんでっしゃろな(笑)

せやから9時までにはと言われてますが、

ぼくなんか6時には戻ってやろ、おもてます」

「会社に帰って、車返して、それでそのまま帰宅できるんですか?」

「そうそう、洗車して、売上げ金を納めてね」

「洗車するんですね。やはり」

「せやね。ぼくは業者に頼んでるけどね。1000円でやってくれるから」

「あ。洗車って、運転手さんがやるんですか」

「そうそう。洗車機使ったら200円で済むんやけどね。

使ってる人もおるけど、ぼくは1000円かかるけど、

頼むんですわ。雨ひどいときだけ、洗え、

というわけにもいきまへんやろ」

「それはそうですね」

「毎日乗る人はそれでもやっぱり200円の機械、使いますけどね。

毎日のことやから」

「なるほど・・・。ときに運転手さん、ぼくは今日これ、現金で

払いますけど、クレジットカード使ったら、カード会社への

手数料、運転手さん持ちなんですか」

「そうです。金額によって手数料が決まっていて、表になってます。

ほら(と、一覧表を見せてくれる)」

「なるほどー。どうですか、カード使う人多いですか」

「12月入って、年末なるほど、増えるね。宴会の帰り、

家まで帰るのに、カード使える? って。

お金使ってしまったんやろね」

「ははは。なるほどねー」

1000円でやってくれる洗車の業者さんの存在、

雨の日だけじゃアレだから、とその業者さんに

依頼する運転手さん。

そしてその洗車代は自腹であること。

カード手数料も自腹であること。

厳しい世界を見ると同時に、

なんだかとても人間的で、

あったかい気持ちになった。

ありがとう、運転手さん。