倉敷美観地区内に証券会社がある。観光の町にぽつん、とあるその
ぼくが旭化成で建材営業マンとして倉敷を訪問していた25年前から
気になっていたことがあって、会社の玄関横にある黒板だ。
おそらく毎日、そこにメッセージが書かれる。手書きで、チョークで。
内容はその日の市場の状況報告なのだが、ぼくの推測では
社長(イメージは、年配)が自ら文章を練り、自らチョークを
もって書いているのだろう、というものなのだが、事実は
全く違うことが、判明した。
美観地区を歩いていた午後2時過ぎ、ちょうどチョークで書いている
場面に出くわしたのである。
書いていたのは、何と、女性である。
ぼくと同行のZONOが「初めてみた!」とか言いながら立ち止まって
見ていた。他に、二、三人、見学している観光客も。
ところが、女性は、背中が気になるのだろう、書く手が止まって
しまった。「注目」の「注」の字を書いたばかりだったのだが、
右の文字たちを何度も見返し、見返し、じーーーっとしている。
と、
「注」の字を消したかと思うとつづけて、その上の文字群も、サッと
消してしまった。
美学。
文字だから、読めればいい、ではないのだ。
「これはもう、アートだね」
ZONOとぼくのストライクゾーンに、ズバリ来た!
勉強になった。
これがその黒板です。