ザッポスが手厚い退職金を示したところ、全社員1,500人

の約14%に当たる210人が退職を決断したという。

(Source:WSJ ネット版 2015 年 5 月 8 日 17:28 JST)

「自分が働く会社の未来より今日の現金がいい」という

人が14%いたということであり、言い換えれば、

「わたしはお金のために働いているのであって、会社の

未来を自分も会社と一緒になって切り拓いていく気は

まったくない」人が14%いたということである。

ぼくなら、ヘコむ。

まあ、ものの見方はさまざまであり、

リトマス試験紙として考えれば、

「ムダな期待をしなくていい人は早々に切り捨て

られた」

という見方も可能だ。

もちろん、会社は生活のために働く場所でもあるが、

しかし、先般、京都・北山の焼肉南山(→)でサービス

してくれた女性スタッフの輝きを目の前にした直後

なだけに、「お金だけで働く人」のことが哀しくて

仕方ない。

南山の女性スタッフは、ぼくの隣席のお客さんが

立ったあと、焼肉コンロの掃除をした。

その掃除の仕方が徹底していた。

ただ力任せに掃除する、というのではない。

愛がこもっているのだ。

そして、客席が汚れていないかチェックし、

少しでも気になるところがあったら、丁寧に

ぬぐっていた。

その仕草は純粋に、お客さんや、自分の働く

場所(南山)への愛が感じられるものだった。

今日、タワーレコードで買い物した。

レジには研修中らしいスタッフと、その教育担当らしい

スタッフがいた。

彼女たちはタワレコの仕事が好きで仕方ないようだった。

買ったDVDを袋づめしてくれている後ろに、社内向けの

貼り紙があった。

「とりはずしたCDケースはどっかにやらずに

所定の場所へしまってください」

正確ではないが、こんな主旨の文章が、イラストつき

で書いてあった。

「どっかにやらずに」

が面白く、

「あれ、面白いね」

と指差したら、彼女たちも

「大阪弁丸出しでしょ」

と笑っていた。

社内向けの貼り紙に、その会社の文化が出る。

おかしなパーティやらラフな服装での仕事やら

を企業文化とする風潮があるが、間違いだ。

そんなもの、企業文化の結果であり、根っこではない。

タワーレコードが、また好きになった瞬間

だった。

写真は2010年10月3日、出張帰りのホノルル空港で見つけた創業者

トニー・シェイの著作。

当時はまだアマゾン傘下には入っていず、試行錯誤の

最中だった。

トニーの語り口には、商品である靴への愛を感じた。

2015年5月現在、トニーはただ「面白い会社の実験」

を楽しんでいるに過ぎないのではないかとさえ思う。

ちょっと残念である。

IMG_5747