ある晩、もうろうとしながら寝室に入ると天井に黒い影が。
コンタクトもめがねもないから良く見えない。
クモかと思ったが、ヤモリだった。
石垣島で「ヤモリは家守といって、その家を守ってくれるから大事にしています」
ということを聞いていたので、ま、うるさい鳴き声を出すわけでなし、いっか、
眠いし、と寝てしまった。
ぬいぐるみであろうと乗り物であろうとすべてにネーミングする
わが家のオキテで名前だけはつけた。
小さいから、「baby」である。
朝、babyはいなかった。
数日後、今度は別の部屋の天井にくっついて、沈思黙考していた。
さらに数日後、階段の踏み板の根っこのところに黒い影があるので
眼をこらすと、babyが腹を見せて、倒れていた。死んでいた。
夜だったので、庭に埋める作業もできないため、「仮置き」のつもりで、
庭に置いた。
翌朝、見たら、そこにはbabyはなかった。しまった! 猫だ。
いたものが、いなくなると、淋しくなる。
それがたとえ、ヤモリでも。
物足りない思いをしていたら、それから二日後、またもや天井に
はりついているbabyを発見。
生き返った!・・・・はずはなく、もう一匹いただけの話なのだが、
彼もまたbabyと呼んで、仲良く暮らすつもりだ。