ZONO、Yukariとクライアントさんで打ち合わせ、遅くなったので
夕食、お茶でもしようと自由が丘駅前の喫茶店へ。
店への階段を、ZONO、Yukari、ぼくの順に上がった。
後ろ、人の気配を感じたので、手前に開くようになっている
ドアを手で押さえ、その人 ─ 赤っぽいエンジ色の服を着た女性 ─ に
気配りしつつ、店に入った。
案内されるまま、店の奥まった4人掛け席に、窓側Yukari、
手前にZONO、ぼくと並んだ。空いたYukariの横の席にはこの季節
のことゆえ、ダウンジャケットなどを置いた。
オーダーを取りに、店員さんが水をもってやってきて、テーブルの上へ
4つ、グラスを並べた。
「3人ですよ」
「あれっ!?4人様じゃなかったですか・・・(びっくりしている)」
オーダーを聞き終えた彼女が立ち去ったあと、ぼくたちは苦笑した
のだが、次の瞬間、待てよ。
気になったぼくは
「店、見てくるわ」
と、店内をぐるりと一周したのだが、
さきほどのエンジ色の服の女性はいない。
一人で座っている女性は一人だけで、でも、その人は
グレー系の服を着ていて、エンジじゃないし、コーヒー
カップは空に近くて、「たった今来た」ばかりではなさそうである。
YukariもZONOも、ぼくの後ろに人は見ていないという。
コーヒーを持ってきてくれたさっきの店員さんに
「4人に見えた?」
「はい」
「ぼくの後ろに人、いたよね? 女の人」
「そうなんです。いらっしゃいましたよね?」
「エンジ色の・・・」
「そうですそうです」
「ぼくがドアを開けて」
「はい・・・」
ここまで言って、彼女は何かを察したらしく、
顔が白くなった。