松島に行った。初松島。
芭蕉は、松島のあまりの美しさに句が出てこない。
代わりに、弟子の曾良が詠んだ。
「松島や 鶴に身を借れ ほととぎす」
いま、ほととぎすが鳴いたが、この松島の絶景には鶴の姿が似つかわしい。
だから、鶴の姿になって鳴いておくれ。
という意味の、ほととぎすにとっては甚だ失礼な句である。
「松島や ああ松島や 松島や」
と芭蕉が詠んだとされる句は、観光のためにひねりだされたコピーで、
芭蕉本人は詠んだ覚えがないらしい。
『おくの細道』の松島を描写した文章は名文だ。
島々の数を尽くして、そばだつものは天を指さし、
伏すものは波にはらばふ。
あるは二重(ふたえ)に重なり三重(みえ)に畳みて、左に分かれ
右に連なる。負(お)へるあり、抱(いだ)けるあり。
児孫(じそん)愛するがごとし。
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