パーミション・マーケティング(以下PM)を翻訳して日本に紹介したのが14年前。
本はベストセラーになったが、PMをきちんと理解して活用しているビジネスは
少ないんじゃないかと思う。
「メッセージを送ってもよろしいですか?」
というパーミション、許可をもらってメールアドレスをもらう。
多くのビジネスがPMというとき、ここで終わってしまっている。
実はこれはPMのステップ1に過ぎない。
プールにたとえれば、水着に着替えるようなもので、プールサイドにさえ
行っていない。
顧客とのこころのパイプを太い絆にまでスローに育てるPMのプールに
入ってすらいない。
この段階ではあなた(ビジネス)はまだパウダールームにいる。
しかしながら、多くのビジネスはここで終わってしまっている。
そして、「許可もらってんだから、いいっしょ?」とばかりにメールを
送りつけてくる。
「買ってください!」「いまならおトク!」
「お誕生日おめでとうございます! お祝いに1000ポイントあげます」
おおいにもったいない。いずれのメールも、的を外している。
送る手間が安いからといって、送ればいいってもんじゃない。
むしろ、顧客の「パーミション」資産を減らすマイナスの効果を生み出している。
そもそも「パーミション」は「許可」ではない。
「ごひいき」である。
PMとは、顧客から頂戴する「ごひいき」資産をスローに蓄積し、高めていく
スローなビジネスのことなのである。
ではその「ごひいき」はどうすれば獲得できるのだろうか。
商品設計、接客など、ビジネスの因数ごとに方法があるが、今日は商品設計に絞る。
たとえば、ここに35万円のヘッドフォンがあるとする。
ヘッドフォンなんか、ネットで探せば3,000円くらいでいくらでも手に入る。
3,000円より35万円のヘッドフォンで聴いたほうが、「音の精度」は高いのだろうか?
というより、35万円のヘッドフォンを買う人はそもそも「音の精度」を求めて
35万円支払うのだろうか?
ノー。
彼女が35万円のヘッドフォンを買うのは、自分のJOY+WOW=ハッピーのためだ。
ハッピーになれるから、買う。
つまり、製品スペックは関係ないのである。
ハッピーを生み出すJOYとWOWな成分。それが入っているかどうか。
先進国マーケティングにおける、重要なカギが、ここにある。
そしてこのJOYWOWなハピネスを含有させる商品設計が、PMなのである。