会社の帰り、同僚と話していて

「あ。その本面白そう」

と思った途端、手元のスマートフォンを出し、

アプリで速攻オーダー、明日には職場に本が

届く。Kindleならその場で手に入るが、紙の本が

いい・・・という「本の購買スタイル」がもはや

当たり前になった。

2000年、インターネットのビジネスへの利用が温度を上げ始め、

みんなあれこれ熱心に取り組んでいた。

シリコンバレー、シリコンアレー(NY)という名前が

熱くなったのも、この頃だ。

ぼくはニューヨークにいた。

いろんな起業家と会ったが、大半は既存のビジネスの

注文窓口をインターネットに「置換」しただけの

ものか、あるいは、「そんなんわざわざインターネットに

する必要、ないやん」という無理スジのものだった。

そのあたりの間抜けなビジネスたちは『スローなビジネスに帰れ』(のち改題、

『スロー・ビジネス宣言!』(←クリック!)に詳しく書いた。

さて、サービスインしてからおよそ20年、ジェフ・ベゾスは

このようなアマゾン・ライフをグランドデザインしていたの

だろうか?

それとも、「結果的に」こうなったのだろうか。

ぼくはここまでのグランドデザインはしていなかった、

結果的にこうなった、という説だ。

理由は、アマゾン初期の頃、本を買うともれなくついてきていた

しおりのデザイン。

本の海に埋もれた自由の女神のイラストに、

「地球最大規模の書店」

というコピーが添えられていたから。

この教訓は、「ベストプラクティスの研究は参考にはなっても、

自社のグランドデザインには使えない」というシンプルなものだ。

あとで振り返ると筋道が明確で、論理的な思考の結果

うまくいったように見える。

しかしながら、整ったのは後になって見るからそう見える

だけ。

くんずほぐれつに現実と戦い、素手でつかんでいくしかない。