この世界での、あなたの仕事について考えてみよう。あなたは

現在の地位を自分でつくったのだろうか、それとも、誰かに

つくってもらったのだろうか。現在の仕事は自分で開発したの

だろうか、それとも、誰かが開発したのだろうか。あなたは、

これまでに機会を見つけたり、つくったりしただろうか。

それとも、他人が見つけたりつくったりした機会の恩恵を

受けているのだろうか。

最近では、自ら機会を開拓しようとはしない気風が、

ますます横行している。この悪しき気風の底にある

精神は、機会の果実というものは、他人が気前よく

振る舞ってくれるものだ、というものである。こんな

気風は、本来アメリカのものではなく、これまで機会を

開拓することのできなかった、よその国の人々によって、

このアメリカに持ち込まれたものである。

一世代前には、一つの機会に1000人の人が群がったが、

今日では1人の人間に1000もの機会があるような社会に

なった。

ヘンリー・フォード (1926年、当時63歳)の言葉だ。

『ヘンリー・フォード自伝 藁のハンドル』(竹村健一訳、祥伝社)

p.20からの引用。

1926年に、フォードの目には「1人の人間に1000もの機会」が見えていたのである。

それから87年経った2013年。ぼくたちは、いくつの機会を見ているのだろう。