田中靖浩さんの傑作新刊『貯金ゼロでも幸せに生きる方法』
を読んで、やはり自分の考えは間違ってなかったと自信がついた。
それは、「これからは中小企業、個人の時代である」
ということだ。
家電メーカーは大企業の代表みたいなものだが、彼らが
ここ10年、やってきたことは「増やす」ことだ。
リモコンのボタンを増やし、洗濯機をスマホでコントロール
できるようなジョークな機能を増やし、照明器具のリモコンボタンを
増やし(どれを押せば明かりがつくのか、『研修』が必要だ)、
部署を増やしてきた。一方、人員は減らしてきた。
口では「人財が宝」と言いつつ、ホンネに従い人を減らした。
ついでに笑顔も増やさず、減らした。
使うのに難しい家電ばかり作って顧客の笑顔を減らし、
一家の大黒柱をリストラして家庭の笑顔を減らし、
売上高至上主義で売上は増やすも利益は減らし
(家電8社の利益を合計してもサムスン1社に及ばない)、
納税額も減らした。
リモコンのボタンがあそこまで増えたのは、会議で、
「この青いやつは**部長がこだわったボタンだから」
「でも、赤いのは**専務が絶対外すな、と言っていたし」
という「議論」(とは本来言えないが)の結果、
「専務と部長の顔を立てて」全部盛り込んだ。
結果が、健康器具にすればツボ押しに使えそうなイボイボボタンリモコン。
家電メーカーに限らず、大企業内「日陰」の部門は明らかに
人材も配属されず手抜きになってしまい、
製品は改良から置いていかれた。
家電量販店で、人気の少ないところに行けば、それがどんな
製品か、わかる。たとえばアイロン、たとえばシャワーヘッド、
たとえば普通の(LEDではない)電球、たとえばドライヤー、
たとえばオーブン、たとえばガラケー・・・。
大企業に勤務する人たちは、どうすればいいか。
田中さんの著書にあるように、「貯金ゼロ」「貧乏」
を想定し、人生哲学を変えてみることだ。
収入は上がらない。
貯金も不可能。
大企業に勤務しているからといって安泰ではない。
(むしろ、タイタニックの例にあるように、図体が大きいだけ、
危機が迫り来ているのに気づくのが遅くなるリスクがある)
大企業ライフこそが、サバイバルゲームをするのに、最も適切な
環境なのだと感謝して、新しい生き方を模索する。
これだと思う。
じゃ、中小企業や個人は?
間違っても大企業になろうと思わないことだ。
会社を育てるフォーカスを、「規模」に置かず、「質」に置く。
ゼロ成長時代、大企業は株主からの圧力など、いいことは一つもない。
だって、商売につきものの「アップダウン」が許されないんだから、
しんどいよ。
結論として、大企業の人も、中小企業の人も、個人も、
ジェットコースター人生を楽しむ哲学。
これをどれだけ持てるかが、人生を楽しくする秘訣だと思います。