『ローカル路線バス乗り継ぎの旅』がなぜ面白いかというと、
「だけ」
だから。
ただバスを乗り継いでゴールを目指す。
それだけ。
そこに演出や台本は一切ない。
ただし、一人ではなく、道連れが二人いて、どんな反応するか
まったく読めない蛭子さんと、最初のうち中身がよくわからないマドンナだ。
観る人は、ある人は人生に、ある人は家族に、ある人は部下の育成に、
ある人は仕事に、ある人は会社経営に、ある人はプロジェクトに
重ね合わせる。予測不能だから、共感できる。
『坊つちゃん』(フジテレビ系)(→クリック)が面白かった。
ぼくや多くの日本人にとって『坊つちゃん』はもはや古典落語である。
だから、そのままやってもいいし、今回のようにそこに現代的解釈を
加えて改変も大いにありだと思う。
観ていて、あ、そこは省いたな、ここ、足したなと面白かった。
一本テーマが大通りを走っていて、それが「正直」「嘘をつかない」
ということで、これこそ現代(いま)にふさわしいテーマだと思う。
そして、正直「だけ」でドラマを絞っていった。
これが面白さにつながった。
二宮和也の坊つちゃんも良かった。
これまでのドラマ化で坊つちゃんというと、坊主頭で
ただの乱暴者的な描写が多かったが、実のところはまさにニノみたいな人だった
んじゃないかと思わせる。
マドンナだけがちとキャスティングに「?」と思ったが(いっそのこと
堀北真希にすれば別の意味でも面白かったのに)。
まぜたくなるのが人情だ。
しかし、まぜるな、危険。
「だけ」でいこう。