千と千尋の茶房(→クリック!)でお茶を戴いたあと、ランチ!とお目当ての店を茶房で
聞いたら、すぐ隣の店とわかった。
入口がすっごく狭くて、岩の間を通る。
犬が店番というか、通行のじゃまをしていて、
「もうわし、寝る! 起すな!」
という感じで、寝ているのをよけながら、入る。
くねくねした迷路のような石というか岩というかの通路を
抜けると、急に視界が開けて、店があった。
出てきたおねえさんに
「3人、ごはん!」
と日本語で言うと、奥からおばあちゃんが顔を出し、
「ごはん? あるよ」
だれかに似てるなあ、と思ったら、亡くなったぼくのおかーちゃんに似ているのだ。
生きていたらこの年格好だろう。
だからこれからオカンと呼ぶ。
オカン「メニュー、日本語?」
というから日本語のメニューを頼むと、何かの旅雑誌に掲載された
写真つきの記事のコピーをもってきた。
「肉? 野菜?」
茶房でお茶をたっぷり戴いたあとなので、あまりお腹が空いていない。
二皿頼むと
「野菜は?」
としつこく言う。
「野菜食べないと、ダメよ」
ますますオカンみたいである。
聞くと、今年87歳だって。
やっぱぼくのオカンと同じ年だ。
元気ねー。
「肉食べるから、ほら、お肌、ツルツルよ、あんたたちも肉、食べなさい」
コラーゲンのことかな。
あんまり野菜、野菜言うから、頼んだ。
これが実はとってもおいしかった。
「ここいらは、戦争の時、爆弾、降ったよ。ボンボンって」
と、オカンは眼下の港町・基隆(キールン)方面をさして、語る。
オカン、愛嬌あって、かわいいので人気なのだと思う。
いろんな人が礼状やら一緒に撮った写真やらを自慢げに持ってきて、
見せる。
こういう出会いがあるから、旅は楽しい。