旭屋書店本店が年内いっぱいで閉店する。
今日、酔っぱらった勢いで曾根崎警察隣の、その旭屋へ飛び込んで
知った。
ここは本当に懐かしい、思い出がいっぱいのお店だ。
大学時代、よく通った。
ゼミの課題図書、翻訳書は高くてなかなか手が出ないが、原書だと安い
と知って、原書を「やむなく」買い始めたのはここの洋書コーナーが
充実していたからだ。
岩波文庫が模範としたドイツのレクラム文庫でヘルマン・ヘッセを、
フランス語のなんとかいうペーパーバックでサガンを買った。
マルクス&エンゲルスの『共産党宣言』ドイツ語原書を手に入れたのも
ここだ。
かつての旭屋書店には、威厳があった。
本当の書物好きしか出入りできないほどの。
大学のともだちとはよく旭屋で待ち合わせした。
大学生時代、ここの何階かにあった休憩用ソファを見て着想したナンセンス短編小説
『旭屋の捨て子』を書いたのも、忘れがたい思い出だ。
ネット書店ではなく、なるべくリアルな書店で買おうと決めているので、
今日は音楽コーナーへ行って、以前から気になっていたキース・リチャーズ自伝と
エリック・クラプトンの本を買った。
しかし、キースの自伝なんか、役に立つのだろうか?(笑)
きっと全く役には立たない気がする(笑)。
でも、そこがいいんだよね。
うーん、こういう、リアルで知的に洗練された空間がなくなるのは、とてもとても寂しい。
本当に、寂しいよ、旭屋さん。