昨日もこのブログで触れた
『The Future of Management』で著者ゲイリー・ハメルは
「Management is out of date」
いまのマネジメントは時代遅れ
と喝破している。
そして、企業の業績(要するに、儲かるか儲からないか)を決定づけるのは
オペレーションモデルでもビジネスモデルでもなく、マネジメントモデルだと
している。
全く同感だ。
6月2日付朝日新聞で、森永ミルクキャラメルが今年6月10日に100歳迎えることを
報じ、同じく100歳を迎えるライオンこどもはみがき、キユーピーマヨネーズ(88歳)、
カルピス(94歳)、仁丹(108歳)、ヱビスビール(123歳)、三ツ矢サイダー(129歳)
などを挙げている。
同時に、大手コンビニ担当者の話として、「お菓子だけでも年間2,000点もの新製品が
出され、生き残るのは10点ほど」が紹介されている。この事情は、日清食品が年間
300点もの新作インスタントラーメンを出すという話を思い出させる。
コンビニはレジPOSで週間の売上が即時に出る。
コンビニの棚(フェース)には商品の座る席が3,000しかない。
これをさらにカテゴリーごとに割り当てられ、平均的なコンビニでは
インスタントラーメンの棚が幅三尺(約90センチ)1〜2本しかない。
ここに年間600商品が殺到する。
週間売上結果で「死に筋」と判断されたら即座にキックアウトだ。
これでは100年続くロングセラーが生まれるはずがない。
なぜこんなことになってしまったのか。
一つはPOSシステムの導入。
もう一つ、そしてこのことはあまり触れられていないが、人事システムにある。
半期に一回、多い会社は毎週、パフォーマンス・レビューがある。
「で、今期君は何をした?」
当然、新商品の開発数が問われる。POSのおかげで短寿命である。
企業の提供する商品(製品・サービス)で「別にやらなくていい改善」
が目立つのも、人事システムの負の成果である。
Facebookで、PCウェブブラウザからメッセージを送ろうとすると画面右下に
小さなウィンドウが出て、極めて書きにくくなっている。
うっかりenter押そうものなら、簡単に送信されてしまう。
これはFacebookが「マトモな」会社になりつつある証拠だ。
つまり、人事評価システムが整備されてしまっているのである。
銀行のオンラインシステムなどで、「パソワードをしばらく変えて
おられません。変えることをおすすめします」という警告が出る。
要らぬお世話である。変えたら、覚えられないのだ(笑)。
これも「で、今期、何した?」という人事評価システムのなせる技
で、「やらなくていい改変」をしてしまっているのだ。
話を冒頭のゲイリー・ハメルに戻すと、ビジネスが2.0へと進化すると
いうことは、マネジメントモデルも進化しなければならない。
旧来のマネジメントモデルの改変や改修ではだめで、非連続で
新しいモデルを作らなければ、いまのように顧客へ負担をかけるだけ
になってしまう。
その答えは、ウェブ型組織だと思う。
JOYWOWは本社横浜と大阪に置いているが、現実はメンバー相互
Facebookグループ上で仕事を進めている。リアルなオフィスはセミナーや
コンサルティングでゲストを迎え入れるために存在している。
MAIDO-internationalはどこにもオフィスはないが、Facebookグループ上で
常に何かの議論が進められている。
ハメルは、
Googleは「マネジメント・システムをウェブを中心とする原理を軸に築いた
世界最初の上場大企業」
としている。
ほかのネット企業が依然として従来型のマネジメントシステム(クローズ、
タテの階層組織、指揮命令・・・)をとっているのに対し、Googleは
「オープン、フラット、変化適合性に優れ、非階層的」であり、
「世界はGoogleのこの壮大な実験から学び続けるであろう」としている(*)。
* Gary Hamel, The Future of Management, Harvard Business School Press, 2007, p.118
そろそろみんな、マネジメントモデルも進化させる時期なのだろうと思う。