田中靖浩さんの新刊『米軍式 人を動かすマネジメント』(→クリック!)

読了。大ヒット作『良い値決め 悪い値決め』の後だから、一体

どんなテーマなのかという点も、同時代の作家として興味深々だった。

素晴らしかった。

そして勉強になった。

中小企業経営者はもちろん、大企業や官公庁大組織のマネジャークラスは

ぜひ読んで、手をつけられるところから実行することをお勧めします。

一番やっかいなのは、いわゆる組織の壁より、自分自身のあたまの中なのだろうけど。

ぼくが『繁盛したければ「やらないこと」を決めなさい』で

OODAについて書いているが、元ネタは田中さんである。

新宿歌舞伎町のライブシアターで二人会をやったときに

田中さんがミグ15と米軍F86の話をされて、その折にたしかOODAループについて

触れていた。ぼくが2004年に上梓した『リーダーシップの教科書』で

凧のリーダーシップと編隊のリーダーシップを対比した内容と

酷似していて興味を持ったのだ。

本の帯には「PDCAよさらば これからはOODAだ!」と

威勢のいい言葉が並んでいるが、田中さんが本書内で自ら言い、

第5章を書き足したように、PDCAとOODAは対立するものではない。

この点については伊藤大輔氏(航空自衛隊幹部学校)も解説で

指摘されている(p.236)。

本書の背骨は、

1. (PDCAに代表されるような)計画重視の弊害、つまり現場や人間不在の

経営手法を脱却しよう。それが機動戦経営だ。

これまでは「とにかくたくさん作って、たくさん売る」が良い

経営とされた。組織設計もそれに合わせていた。

しかし、それは機能しなくなっている。

2. 現場に任せることで人が育ち、かつ的確な意思決定ができるOODA

  ループの思想を採用しよう。

3. そのためには志(田中さんはこれをミッション・コマンドと表現)を

 明確にし、これによって人を「動かす」。

 高い志に共感した人は自ら動くようになる。

4. 現場に必要なものは何でもかんでも混ざっている「インフォメーション」

 ではない。それらは単なる生データに過ぎない。目標達成に必要な

 加工・統合・分析・評価を加えた結果の「インテリジェンス」こそが

 必要である。ITの発達、スマホの普及はかえって混乱を増幅させている。

5. もはや現代社会で「安さ」が売りの商品は成立しない。

 価格と限界利益を重視する経営会計(管理会計ではなく)が必要で、

 そのためには顧客を納得させる五感に響く商品デザインが求められる。

事例として、田中さんのオフィスにあるオーディオB&O(実は

あのオーディオ、ぼくも羨望の目で見ていた!)のリモコンが

6万円するが、しかし、ずっしりと手に重みを感じる納得性がある

ことが述べられる。

大より適切なサイズ、組織設計を見直せ、経営指標を見直せ、

人を中心にすえる、変化を楽しみながら仕事する、五感に響く

商品デザインをしよう、一人ひとりが状況を読み、意思決定し、

機敏に方向転換して動く編隊型リーダーシップ、そして経営に

何より大切なものは志・・・・

まるでぼくが自分の書いた本を読んでいるかのような錯覚を

覚えた。

現在企画中の本で、いったいぼくに書くことが残っているの

だろうか、田中さん(笑)

そうえば「げき」ことゲキハナ古屋悟司氏も登場する。

田中さんが自分でツッコンでいるように褒めすぎです(笑)。

ビールスタンド重富さんも登場。

ほかにマッキンゼー創業者、モルトケ、コリン・パウェル、

OODA発案のジョン・ボイド・・・など、魅力的な

スターたちのエピソードも面白い。

すぐ本屋さんに走ろう!

現在構想中の、本の中身がハイパーリンクしている様子をスナップチャット使って図にしてみたよ

現在構想中の、本の中身がハイパーリンクしている様子をスナップチャット使って図にしてみたよ