<経営で大事なこと>
経営で大事なことは次の三つ。
第一に、社会に生かされている生物であるという自覚。
間違っても社会を形成していると思わない。
結果的に生かされていて、形成に貢献しているだけなのだ。
ここでいう社会とは、コミュニティやエコシステムを指す。
そこでの流儀は、「他者(社)から何を得られるか」といった、
異業種交流会的発想ではなく、
「自分(社)が何を提供できるか」
「何で貢献、お役立ちできるか」
という基本姿勢であり、
かつ、
「お互いに高め合っていこうね」
という合意である。
かつてビジネス界によくあった
「競争」「勝ち負け」「上下」
という文法はなく、
「共創」「高め合い」「ヨコ」だ。
つまり最も重要なものは
何の価値でお役立ちするのか
という志、つまり経営哲学だ。
第二に、目標やビジョンはあくまで現在、いまここの行動を規定してくれる条件に過ぎず、
時制を間違えてはいけない。
目標やビジョンは「未達」だからといって、未来のことだと思わない。
目標やビジョンが未達なのは白鳥が白いから白鳥と呼ばれるのと同じで、
未達だからこそ目標やビジョンとして成立するだけのことだ。
それより大事なことは
「**を達成したい、だから今**する」
という行動だ。
第三に、お金は結果的についてくるが、
お金より先に稼がなければならないのは共感ポイントだということ。
SNSで個人と個人がつながりっぱなしの社会では共感ポイントが重要な通貨になる。
わかりやすいから共感という用語を使っているが、SNS登場以前の人類が使っていた共感とは別の感情だ。
簡単にいうなら「いいね!」ボタン的気持ちであり、友情とも違う。
いまのところはここまでしか言語化できないが、それでいいのだと思っている。
ここまではわかる、ここから先はわからないと「至善にとどまる」ことは『大学』の教えだ。
顧客にポイントカードを発行するのであれば、店側が顧客ポイントシートを作成するほうがいい。
Aさんは月に2回来てくれて、一回平均5000円使ってくれる。
だからAさんは月1万円使ってくれるグループに入れよう・・・という発想は違う。
Aさんが店に使ってくれた金額はどうでも良い。
店がAさんから獲得した共感ポイントが増えたのか、減ったのか
だけが重要なのだ。
クレジットカード会社から毎月送られてくる「ご利用明細」のように、
「顧客の共感ポイント明細」をしっかり作成している店こそが、
繁盛しつづける。
<moment to moment>
積み重ねの上にいまがあるのではなく、瞬間のつながりだということ。
アドラー的には「刹那のつながり」というが、同じだ。
瞬間の経営を着想してから『嫌われる勇気』を読んだが、言ってることが全く同じでびっくりした。
経営は、瞬間のつながり。人生と同じだ。
だから、いつ倒産しても構わない。倒産する瞬間がいま来ただけのこと。
明日からは別の経営をすればいいだけの話。
瞬間から瞬間へ、サーフィンのように楽しむ。
それこそが、瞬間の経営の醍醐味なんだ。