ネコは具象である。
 
イヌ。
 
キリン。
 
ゴキブリ・・・みんな具象で、抽象的思考は知らん。
 
だから悩まない。
 
新型コロナウィルスはどうだろう。
 
抽象的思考していそうである。
 
めちゃくちゃアタマいい感じ。
 
「緊急事態宣言解除されたで」
 
「されたな」
 
「またいく?」
 
「行こか」
 
「せーの、やで。抜け駆けあかんで」
 
「わかっとぅ。そういうお前こそ」
 
LINEグループできっとやりとりしてる。
 
ホチキスも具体だ。
 
彼が抽象的思考を学ぶとどうなるか。
 
「なんでオレはいつも針を腹ん中に入れるんやろ」
 
悩みが始まる。
 
針を出してみた。おそるおそる。
 
あれ!? 平気やん。
 
「スッキリー! オレは針なんてなくても生きられるやん!」
 
元気いっぱい、セミナーに行った。
 
ある大僧正が講師をつとめてて、タイトルは
 
「人は一人では生きられない」。
 
そこでホチキスは、針を腹に入れて、紙を束ねる
 
ことに自分の生きる意味があると知った。
 
「目からウロコっす。今日来て良かったっす!」
 
ホチキスは自分の生き甲斐に気づき、
 
飛び跳ねながら会場をあとにした。
 
クイックルワイパー。
 
「なんでいつも丸くしか掃けないんや。四角くやってくれ!」
 
ストレスたまる。
 
イヌ。
 
「散歩の一つも連れて行かんと、こんな狭いマンションで飼いやがって」
 
出かけるとき、やたらワンワン吠える。
 
寂しいんだな、と思ったら
 
「オレも連れてけ! アニキ、どこ行くん? オレも!」
 
ネコが出迎えてくれた。つま先からあたままで見回して
 
「ふーん。そうなん」消えた。
 
ゴキブリが会議してる。
 
「どうも冷蔵庫の下が危ないらしいで」
 
「なんか箱があって、中からいいにおいがしても、
 
絶対に入ったらあかんで。入るなよ。ぜったい入るなよ
 
・・・あ。あいつ入りよった」
 
ZOOMは具象である。抽象化する。
 
「オレ、リニアに勝ったし。移動時間ゼロやし」
 
リニアモーターカー、いまとなっては
 
「どないするねん」プロジェクトだが、
 
くだんのプロジェクトメンバーもZOOMでミーティングしてる。
 
「なんか、ZOOMで良くね?」
 
「それは言わない約束」
 
「でも」
 
「しっ! 部長の参加ボタンが表示された」
 
かくして、具象は具象のままが幸せなのである。
 
抽象的思考を学んだ途端、悩みが始まる。
 
悩んだら、具象化すればいい。
 
つまり、ただひたすら、休むのだ。
 
これでいいのだ。