In physics the taste of a substance is not a fact. Nor, until

fairly recently, was its color. In cooking, the taste is a fact

of supreme importance, and in painting, the color matters.

Physics, cooking, and painting consider different things as

relevant and therefore consider different things to be facts.

The Effective Executive, p.144

物理で、味は事実ではない。

つい最近まで、色も同様だった。

しかし、料理において味はきわめて重要だ。

絵画で色が重要なことは言うまでもない。

つまり、物理、料理、絵画はおのおの違う事物を事実と

しているのである。

(阪本訳)


ドラッカーは、意思決定のコツとして、

「自分の意見から始めよ」

としています。

多くのものの本では、

「事実を発見せよ」

と言うが、ドラッカーは違う、と断言します。

なぜなら、ある事象を事実とするためには

「何が適切かという基準」(the criteria of relevance)が必要

だから。

よって、最初に事実を手に入れるなんてことは不可能である。

ドラッカーは、こうも言っています。

Events by themselves are not facts.

事象は事実ではない。

ぼくはこのドラッカーの考えを読んだ時、

17世紀から18世紀にかけて活躍した

イタリアの政治哲学者ヴィーコ

Giovanni Battista (GiambattistaVico or Vigo

(23 June 1668 – 23 January 1744)

の「真なるものは作られたものである」

verum esse ipsum factum

(“true itself is fact” or “the true itself is made”)

を想起しました。実はこの論、ぼくの大学卒業論文

の鍵となるコンセプトなんです。