むかしは、「まちいこうや」だったわけね。いまではどちらかと言うと、
とくに飲み屋さんなんかは「行って探そうや」っていうのがない。机の上で行く
店が決まっちゃってるから、机の上でお客さんに選んでもらう仕組みづくりって
ことで、インターネットとか雑誌とかが流行っていて、そこにたくさんお金を
つぎ込んでるわけね。来た人にありがとうって言って何かするんじゃなくて、
来てくれたお客さんからお金をとって、来ないお客さんに使ってるみたいな。
そうやってどんどんまちが廃れていってしまう。
『酒屋の群像』丸本智也著、p.38-39より引用
「来た人にありがとうって言って何かするんじゃなくて、
来てくれたお客さんからお金をとって、来ないお客さんに
使ってるみたいな」
これって、これまでのマーケティングの欠陥をズバリ、言い表しているよね。
重富さんのこの言葉に触れ、ぼくのコンセプト「たった1人」を突き詰めてつきつめてみると、
目の前のお客さん
なんだ、と気づいた。
お客さんの心理として、何に一番価値を感じるかというと、目の前で行われるライブ感
に対して、だと思う。
重富さんの強みは、「おいしい生ビールを出す技」だ。
生ビールの「ドラフト」とは、「引き出す」という意味。
ぼくはいまのいままで、「ドラフト＝生」と思っていた。
違った。
樽からビールをひっぱりだしてグラスへ注ぐ。
これこそがライブ、だからこそ、生。ライブで魅せている。
生ビールの生って、目の前で、樽からビールを「引き出すライブ」を指している。
つまり、「缶ビールの生」というのは黒い白鳥、背の低いノッポというように形容矛盾
であり、本来あり得ないのである。
このように、「本来あり得ない」ことを、「本来の姿」へと戻すこと。
ただこれだけで、相当楽しい世の中になるんじゃないか？
重富さんが目の前で注いでくれる生ビールは、人を笑顔にする。笑顔を生み出している。
1人2杯まで。営業時間2時間（17時-19時）。おつまみなし。
「うちでうまい生ビールを飲んだあとは、地元流川のお店で食事なさってください」
重富さんは「たたかわない」のだ。
1. 笑顔を生み出す
2. たたかわない
3. ライブで魅せる
この三本柱こそ、秘訣だと思う。何の秘訣かって？
1. 売るのではなく、売れる
2. 集めるのではなく、集まる
3. 伝えるのではなく、伝わる
という、新しいマーケティング三原則です。
笑顔が生まれたよ（重富さん、りさっち、エリー）
コメント
コメント一覧 （2件）
本当にいいお店でしたね。
きっと喜んでいただけるのではないかと思いました。
私は目の前のこの人に最高のものを体験して欲しいというホスピタリティを感じました。
だからこそ他のお客さまにも一緒に楽しんで欲しいと思い、次に並んでる方を先に入ってもらったり、飲んだらすぐに出たり。
良い店がたくさんの笑顔の人でいっぱいになり、お客様同士でも空間や体験がシェアされる、そんなふうになったらいいなといつも思います。
自身の快よりももう少し広げた、喜びの輪が、あの小さなお店に満ちているような気がしてなりません。
もちろんそれを成立させるだけのJOYとWOWがしっかりあり、そのための技磨きを重富さんが怠らずされている、しかも休みなど関係なしで、というところにも共感を強く感じます。
そんなお店を支えるのが自身のミッションであると、強く感じる旅になりました。
TM、素晴らしいお店を紹介してくれて、ありがとう！
「体験」が素晴らしいんですよね。
店の外でワクワクしながら待つ体験。
知らないお客さんと同じ「場」にいるという体験。
店内に一歩入って、ワクワクが高まる体験。
重富さんのビールを「ひきだす」技を見る体験。
美しい所作をながめる体験。
みんなで腰に手を当てて、ハイタッチする体験。
グイッと飲む体験。
おいしいね〜と笑顔を交わし合う体験。
後味を楽しみながら「次は何にしようか」と迷う楽しさ体験。
外で待つ仲間にサインを送る体験。
飲み終わって、外に出て、仲間に「おいしかったよ！」と言う体験。
ライブな体験こそが、いま一番価値あるものなのだと思います。